「せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまった…」
「面接のときは良さそうだったのに、入社後に違和感があった…」
採用の現場では、このような“ミスマッチ”の声をよく耳にします。
中小企業にとって、ひとりの採用は大きな投資。だからこそ、できるだけ長く働き、育ってくれる人材と出会いたいと誰もが思っているはずです。
この記事では、社労士として多くの企業を見てきた経験から、
「採用ミスマッチを防ぐために、今すぐできる3つの視点」をお伝えします。
「採用活動が不安」「ミスマッチが続いている」と感じている方にとって、少しでもヒントになれば幸いです。
目次
1. 採用ミスマッチは“人”の問題だけじゃない
採用がうまくいかないと、「あの人が悪かった」「見る目がなかった」と思ってしまいがちです。
ですが、実はミスマッチの多くは、“仕組みや伝え方の不整備”に原因があります。
たとえば、以下のようなケース:
- 求人票に「残業ほぼなし」と書いていたが、実際は月20時間発生していた
- 「アットホームな職場」と伝えていたが、ルールや上下関係が厳しかった
- 採用基準が曖昧で、社風と合わない人材を選んでしまった
つまり、事前の「期待」と、実際の「現実」とのギャップが、離職や不満の原因になるのです。
2. ミスマッチを防ぐ3つの視点
採用の失敗を防ぐには、「採る前の準備」がカギを握っています。
ここでは、特に大切な3つの視点をご紹介します。
① 採用基準を明文化する
「こんな人が来てくれたらいいな」とイメージはあるものの、
実際に採用基準が明確でない企業は意外と多いです。
例えば…
- 価値観が会社と合うか(スピード重視か、丁寧さ重視か)
- 基本的な社会人スキルがあるか(報連相、時間管理など)
- どのレベルのスキルや経験が必要か
このように「人物像」を具体化し、社内で共有することが大切です。
② 求人情報は“正しく、リアルに”伝える
最近は求職者も企業をよく見ています。
「どんな人が働いているか」「実際の働き方はどうか」「どんな文化か」
だからこそ、誇張や曖昧な表現ではなく、リアルな現場の様子を伝えることがポイントです。
たとえば、
- 「週1回は定時退社、平均残業時間は15時間」
- 「20代〜40代が中心。比較的落ち着いた雰囲気です」
- 「朝礼あり。報連相を大事にする文化です」
こうした具体的な表現が、期待値のズレを防いでくれます。
③ 入社前の書類を整備する
内定後の書類(雇用契約書、労働条件通知書など)は、採用後のトラブルを防ぐ第一歩です。
勤務時間・休日・給与・試用期間の条件・懲戒規定などを明文化し、
「言った・言わない」を防ぐ体制を整えましょう。
また、就業規則が古い・実態とズレているというケースも多いため、採用活動の前に社内ルールの見直しもおすすめです。
3. 社労士ができる採用サポートとは?
社労士は手続きや労務管理だけでなく、採用ミスマッチを防ぐ「土台づくり」もサポートしています。
具体的には、
- 就業規則・雇用契約書の見直し・整備
- 求人票作成時の条件チェックや表現アドバイス
- 試用期間・評価制度の仕組みづくり
- 入社時の説明内容のチェック
「とりあえず採ってから考える」ではなく、
採る前の準備をきちんとすることで、定着率も大きく変わります。
“採って終わり”ではなく、“採って育てる”ために、仕組みを整えていきましょう。
4. 採用は、未来の組織づくり
人を採用するということは、未来をつくることです。
どんな人と一緒に働きたいのか。
どんな組織文化をつくっていきたいのか。
そのために、どんな仕組みや準備が必要か。
社労士は、「人に関する専門家」として、その部分をご一緒に考え、支えていきます。
もし今、
- 採用ミスマッチが続いて困っている
- 就業規則や雇用契約書があやふや
- 人が定着しない
…そんな状況に心当たりがあれば、まずは一度ご相談ください。
※この記事は2025年4月時点の法改正・実務に基づいています。今後制度が変更される場合があります。